ページランク随想録


基本的なリンク構造について〜放射状なのか?それともリング状,直列型?

では,早速始めましょう。まず最初は,ページの数がページランクに及ぼす影響です。まずは,自分のサイト内のページが1つの大きなトップページで構成されている場合です。

外からのリンクの合計価値は定義通り1で,内部からのリンクの価値Xは0です。よって,トップページのページランクは外部からのリンクを反映して,1となります。では,下部ページを1つ作ってみましょう。

トップページは外部リンク(1)と内部からのリンクXの合計(1+X)です。トップページからは外部と下部ページへの2つのリンクがありますから,下部ページへのリンク価値は(1+X)×1/2です。となると,被リンクを受ける下部ページ自体の価値は(1+X)×1/2となり,ここからトップページに返すリンクの価値はそのまま(1+X)×1/2です。下部ページからトップへ返すリンクの合計をXと定義していましたから,X=(1+X)×1/2という方程式が成り立ち,X=1です。すなわち,トップページのページランクは(1+X)ですから,2となります。
ページを1枚増やすだけで,お得と思われませんか?調子に乗って,どんどん増やしてみます。

どうでしょう?3つのページを直列につないでみましたが,トップページのページランクは2のままです。更に増やしますと,

やっぱり2のままです。このことから,直列にページをつないでいっても,このやり方ではページランクの向上は見込めないことが分かります。直列でももう少しお得な方法もあるのですが,それは後に説明します。ここでは,ページのつなぎ方に工夫を凝らしてみましょう。先ほどは3つのページを直列に配列しましたが,こんどは放射状に配置してみましょう。

トップページから3カ所に対してリンクが作成されるので,その内の1つのリンクの価値は(1+X)×1/3です。下部のページから同じ価値のリンクが返ってきますので,計算するとトップページのページランクは3となります。外部から受けている被リンクの価値の3倍ものページランクを示しています。どうせページを3ページに増やすのであれば,この方が断然お得です。更に4頁にすると,

ページランクは4です。どうやら放射状にページを増やせば増やすほど,トップページのページランクは増加するようです。同じ4ページでも次のように配置すると効果は減少してしまいます。

どうやら,トップページに対して,放射状にページを増やしてゆくのが良さそうです。このことは,一般的に言われる「ツリー上のサイト構造」が有利なことを示唆するものと言えるでしょう。また,ツリーといっても,「丈は低く枝の多い木」つまり深い構造を持たず,サイト内への全てのリンクがトップページから出てゆく構造が有利に見えます。
 ついでに特殊な配列方法も試しておきましょう。これは,リング状にリンクを一方向にたどっていって(逆へのリンク無しに)最終的にトップページに戻る配列です。小説を読ませるサイトなどに多い構造ですが,

トップページのページランクは2です。放射状配列に比べてやや不利なようです。示しませんが,これ以上ページ数を増やしても,トップページの価値は不変です。ですが,同じリング状配列で,時計回りにも反時計回りにもリンクをたどれるようにすると,

トップページランクは放射状配列と同じく3となりました。これは効率は悪くありません。ただ,3つのページでこれをやると,見方によっては放射状配列の下部ページどうしにリンクを作成した形とも見えますので,当然の結果かもしれません。ページ数を4にしてみましょう。

残念ながら,トップページのページランクは3のままです。リング状配列では,これ以上ページを増やしても,これが限界です。ページ数を増やせば増やすほど,ページランクが上昇する放射状配列と比べて,ページランクの面で不利になると考えられます。本章の結論としては,
ページの構造は縦に長いリンク構造(より深いリンク構造)やリング状構造ではなく,すべてのページがトップページに相互リンクされていることが望ましい
ということになります。


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