ページランク随想録


特殊な構造について

webブラウジングをしていると,いろいろなホームページに出合いますが,中に入口専用のページをトップページとして,次にメニューページに入るようになっているページがあります。(よく見かける最初に大きな印象深い画面を見せて,次にメニューに入ってゆくような構造です。)この構造はトップページが非常にすっきりして,coolに見える様な気もします。この構造はページランクとして見た場合どうなのでしょうか?この章で検証していきます。前章で解説した3ページで構成される放射型配列のサイト(図.7.)を例にとります。この構造はリンクが全てトップページに集まることから,トップページのページランクを最も高めやすい構造のひとつです。このサイトに入口専用ページを作成してみます。図.12.をご覧下さい。

計算してみると,トップページのページランクは2のままです。図.7.の放射構造はページランク3でしたので,ページを増やしたのにランクが下がった様に見えます。ただ,既にお気づきかもしれませんが,この構造は正確には入口専用ページになっていません。外部へのリンクが入口専用ページに置かれているからです。そこで,メニューページ(一段階下層のページ)に外部へのリンクを置いてみたのが図.13.です。

やはり,残念ながらトップページのランクは2で,変化ありません。入口専用ページは,全く価値がないのでしょうか?いえいえ,そうではありません。図.12.と13.のYの値に注目してみてください。ここではYは入口専用ページ直下のメニューページのページランクとして定義して計算を進めています。図.12.では3,図.13.に至っては4という高値を示しています。これまでの検証でページランク4をたたき出したのは,図.8.のみでしたね。図.8.はメニューページ1ページとコンテンツ(内容のページ)3ページの計4ページからなっていますが,図.12.と13.は入口専用ページ,メニューページ,コンテンツ2ページの4ページでできており,コンテンツが少なくても高いページランクを生み出す構造と言えるでしょう。この構造の特徴はトップページのページランクが低くて,メニューページのページランクが高いということです。これはお得なのでしょうか?実は,Googleの検索結果に限って言えば,断然有利と言えるのです。また例を挙げますが,試しにGoogleで「Nike」のホームページを検索してみてください。Nikeほどの有名企業様のホームページともなれば当然1番上に表示されるのですが,ここで強調したいのは表示される順位ではありません。表示のされ方なのです。Googleの検索結果において,「www.nike.com/」と「www.nike.com/main.html」の2ページが共に検索結果として表示されています。これは,検索にヒットしたサイト内にトップページ以上のページランクをもつページが存在する場合に現れる表示方法です。Googleにおける自分のサイトの表示面積が,たったこれだけの労力で2倍になります。ページランクは放射状構造に匹敵する高さ(ただしメニューページ)を示し,なおかつGoogleにおける表示が2倍になる構造,それがこれなのです。本章の結論としては,
自分のサイトに入口専用ページを増やすだけで,ページランクを落とすことなく,Googleでの表示を有利にする可能性がある
ということです。


重要ポイント:検索結果の表示はページランクによるものだけではなく,検索ワードも重要な指標です。(むしろ,そちらが大事!)検索ワードが関係ないのであれば,自分のサイトをGoogleで検索した場合,自分のサイトとプロバイダーのトップページなどが併記されて表示されるはずです。なぜなら独自ドメインを持たない個人ホームページは,検索エンジンロボットから見た場合プロバイダーの大きなサイトの一部として見えているはずだからです。実際,プロバイダのトップページとあなたのサイトがGoogleの検索結果において同時に表示されないのは,検索ワードが異なるからです。となると,Googleにおける検索結果内の2重表示を狙うには,必要な検索ワードが入口専用ページにも含まれている必要があります。格好いいからと言って,入口専用ページをイラストや写真だけで構成するとうまくいきません。(ですが,検索ワードを見えないように大量に含ませることは,検索エンジンに対するスパムと見なされますので,決してしてはいけません。場合によっては,検索エンジンのロボットが2度と訪問しないようにされるかもしれません。おすすめは,検索ワードを充分に含んだ自分のサイトの説明文を入口専用ページに配置することです。)


応用:Nikeのサイトにアクセスすると,「www.nike.com/」でも「www.nike.com/main.html」でも自動的に「www.nike.com/main.html」のページが表示されるようになっています。Googleのロボットは「www.nike.com/」を「www.nike.com/index.html」として認識しているはずですが,我々が「www.nike.com/」にアクセスした際,自動的に「main.html」を見せられるようにサーバー側で設定しているようです。「www.nike.com/index.html」は直接アクセスすれば,見えない訳ではないですが,通常のwebブラウジングにおいては目に触れないようになっています。Googleでの表示も考慮に入れた,非常に巧妙な構造と言えます。このような大手サイトはプロの方が作成するのでしょうが,さすがですね。我々も参考にしたいテクニックです。(ちなみにメニューページのmain.htmlも入口に相当するindex.htmlも共にページランクは7です。さすがと感心してばかりではいけません。index.htmlに集まったであろうページランクを減らすことなくmain.htmlに活用しているうまい手法の一例として参考にさせていただきましょう。2003年12月23日現在)


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